ChatGPTベースの検索エンジン:Google検索と競合できる製品の登場か?
新しい検索エンジンが登場するたびに、話題になる傾向がある。
数年前のDuckDuckGoがそうで、昨年はマイクロソフトのCopilot(同社のBing検索エンジンのAI搭載版)もそうだった。
最近では、ジェフ・ベゾス(Amazonの共同創設者)が支援するAI検索スタートアップ、Perplexityにも同じことが起きている。
PerplexityのCEOはすでに、Googleはレガシーで古いものとして見られるようになるだろう」と言い、PerplexityはGoogle検索を歴史のゴミ箱に送るだろうと語っている。
月間約1000万人のユーザーを持つ製品としては、かなり大袈裟な予測ではあるが。
しかし、Google検索の優位性はずっと続いていて、一見崩れそうにないため、世間は新たな潜在的挑戦者が現れるたびに興奮する。
そこで、その次の挑戦者は、ChatGPTを開発した米OpenAIが制作中と言われている検索エンジンになりそうだ。
ウェブ検索用のChatGPT
The Information は、OpenAIが独自の検索エンジンを開発中であると報じた。
その検索エンジンが独立したアプリになるのか、それともChatGPTのもう一つの機能になるのかはまだ不明だ。
しかし、この報道によれば、ChatGPTより速く、ChatGPTと同じくらい要約する機能が優れている可能性があるという。
実際、ChatGPTはすでに検索エンジンとして使用することができる。
2023年の秋以降、プレミアムユーザーは手動で有効にする必要がある「Browse with Bing」機能を使ってウェブを検索することができる。
しかし、「Browse with Bing」はまだ大きな話題にならず、Googleユーザーを奪い取れるものにもなっていない。
なぜなら、このChatGPTのブラウジング機能を試してみたところ、驚くほど遅いことがわかりました。
やっぱり、ChatGPTは本来、ウェブ検索のために作られたのではありません。
しかし、もし今回のChatGPTの新機能やOpenAIの新アプリがウェブ検索を念頭において作られているのだとしたら?
Googleを完全に追い落とせるのか、それとも単なる一時的な流行になるのか?
Googleにとって危険な競合となるのか?
OpenAIが検索製品に取り組んでいるという報道は、テックコミュニティの注目を集めた。
米Gizmodoは、(まだ未公開の)その製品や機能がグーグルにとって"災いをもたらす"とまで仮説を立てている。
「アルトマン氏はグーグルにっとって、目覚めることのできない悪夢だ」と、ギズモードのマックスウェル・ゼフは書いていおり、
「毎週1億人以上がChatGPTを利用しており、すでにグーグル検索に頼る人の数を減らしているようだ」と論じている。
まあ、仮にそうだとしても(その確たる証拠はないが)、ChatGPTがGoogleの検索市場シェアに大きく食い込んだわけではないことは確かだ。
ウェブ検索市場は成長すると予測されているが、グーグルのシェアは80%前後で推移している。
そして、最新四半期におけるGoogle検索の収益は投資家を失望させ、親会社であるアルファベットが期待していた481億ドルを少し下回ったが、前年同期比では13%増だった。
私たちは以前、このような流れを何回も見てきた
Googleの圧倒的な優位性(インドのようにシェアが90%に達する市場もある)を崩すチャンスがあるとすれば、それは恐らくMicrosoftのBingだろう。
2023年2月初旬にマイクロソフトのAIを強化した検索エンジンが登場したとき、我々ユーザーの多くはその将来性に大いに期待した。
"Microsoft's AI-Boosted Bing Can Run Rings Around Google Search"(マイクロソフトの、AIで強化されたBingはGoogle検索を凌駕できる)とCNETは語り、検索クエリ10個のうち8個でBingの方が優れていると評価した。
そして、私たちAdGuardも感銘を受けた。
また、Bingの市場シェアは2位であり10%を占めており、3位のYahooに8%もの差をつけている。
つまり、AIは、マイクロソフトの検索エンジンがGoogleと本格的に競争しないまでも、少なくともグーグルに顕著な差をつけるのに役立つ、欠けている材料(一種のスーパーフード)だと思われた。
ところが、検索エンジン市場における真の競争を見たかったのは山々だが、それは今のところ、まだまだ夢物語であることが判明している。
Bloombergが的確に指摘しているように、一部のアナリストが予測していた伝説的な「初iPhoneのような瞬間」は実現していない。
また、刷新されたBing AIをめぐるあらゆる宣伝や騒ぎにもかかわらず、その市場シェアは、AIを搭載したモデルチェンジを発表した時点から1ポイントも増加していない。
バケツの中の一滴であり、大変革ではない。
ただし、誤解しないでほしい。
私たちは、マイクロソフトがすぐに成功を収められなかったことをほくそ笑んでいるわけではない。
しかし、Google検索のライバルになりそうな企業は、今のところ何度も何度も、危険な挑戦者になることに失敗しているように見えるのが現実だ。
これまでのところ、グーグル打倒を試みた企業・ベンチャーはすべてゴールに到達しておらず、無名またはインターネットの墓場に身を置くことになったいくつかの企業のことは本当に残念に思っている。
例えば、広告のない有料検索エンジンNeevaの終焉がその一例で、プライバシー重視の広告なしウェブという壮大で感動的なビジョンは、実現する運命にはなかった。
昨年Neevaが閉鎖されたとき、最大の問題は、より良い体験のためにお金を払うようユーザーを説得することではなく、「そもそも新しい検索エンジンを実際に試してもらう気持ちにさせること」だったと、Neevaの共同創設者たちは書いている。
それはあまりにも遍在している
Google検索がプリインストールされたデバイスを使用しているユーザーに対し、新しい検索エンジンに切り替えるよう説得することが、OpenAIの新しいウェブ検索用製品が直面する問題となる。
そしてアルファベット(Googleの親会社)も、そのような状態を確実に維持しようとしている。
昨年、CEOのスンダー・ピンチャイは、iPhoneのデフォルト検索エンジンであり続けるために、グーグルがアップルにSafariの検索収益の36%を支払っていることを明らかにした(様々な推定によると、その金額は180億ドルから200億ドルの間)。
また昨年、Googleが、検索を含むGoogleアプリをデフォルトのオプションにするために、サムスンに4年間で80億ドルを支払うことで合意したことも明らかになった。
グーグルの競合になるであろう企業には、そのような資金があるのだろうか?
このような状況だと、最初から負け戦のように思える。
Chromeユーザーにブラウジングの習慣を改めるよう説得するのは、どれほど苦労しないといけないのか。
OpenAIの新しい検索製品が公開されれば、Google検索のライバルとして上記のような課題のすべてに対応できるのだろうか?
これからの進展でわかることだが、その可能性は高くないだろう。