AdGuard、認証局eMudhra脆弱性への対策として4件の臨時アップデートをリリース
認証局「eMudhra」の証明書脆弱性に関するセキュリティ事件を受け、ブラウザおよびOSベンダーは同局が発行した複数の証明書をブロックする措置を講じました。
AdGuardも、HTTPSトラフィックをフィルタリングする際にサーバー証明書の検証を行っているため、HTTPSフィルタリング機能のあるAdGuardアプリにおいてもこの問題に対処する必要がありました。
AdGuardは迅速な対応として、4個の製品において緊急アップデートをリリースいたしました。
以下では、何が起きたのか、AdGuardがどのような変更を行ったのか、そしてセキュリティを維持するためにユーザーに行っていただきたい対策についてご説明いたします。
eMudhraの証明書に何が起きたのか?
eMudhraは、主要なブラウザやオペレーティングシステムから信頼されていた証明書発行機関(認証局)です。証明書発行機関はHTTPSにおいて重要な役割を果たしており、ブラウザがウェブサイトが主張する通りのサイトであることを確認するのを支援します。
2026年10月17日、あるセキュリティ研究者が、eMudhraの中間証明書8件の秘密鍵が流出したと報告しました。これらの鍵は、極めて脆弱な乱数生成アルゴリズムで生成されていたため、公開証明書から1秒もかからずに復元可能でした。これらの鍵を入手した者は、それを使って偽の証明書を発行し、本来ならブラウザが信頼するはずのウェブサイトを装うことが可能でした。本記事の公開時点では、これらの鍵が攻撃に悪用されたという公的な報告はありません。
ブラウザベンダー各社は迅速に対応しました。GoogleとMozillaは報告から数時間以内に影響を受けた証明書の信頼を撤回し、続いてAppleとMicrosoftも同様の措置を講じました。根本的な原因は、eMudhraの鍵生成プロセスにおける欠陥でした。AdGuardは本件に関与していませんが、この事象を受けて、AdGuardによるHTTPSトラフィックの処理方法を調整する必要が生じました。
HTTPSフィルタリングが有効になっている場合、AdGuardは暗号化されたトラフィックを検査し、広告やトラッカーをブロックできるよう、サーバー証明書を独自に検証します。これらの検証は、少なくともブラウザが行うものと同等の厳格さを確保し、必要に応じてより保守的なアプローチを取る必要があります。
AdGuardの対応
AdGuardは10/21(水)と10/22(木)に、HTTPSフィルタリング機能のあるAdGuardアプリに緊急アップデートを配信し、当該のeMudhra証明書をブラックリスト化しました。
対象アップデート:
- AdGuard for Windows v8.0.3
- AdGuard for Android v4.15.1
- AdGuard for Mac v2.20.2
- AdGuard for Linux v1.5
(※AdGuard for iOS にはHTTPSフィルタリング機能がないため、今回の脆弱性は対象外です。)
当社のチームは、これらの修正をできるだけ迅速に提供できるよう尽力し、数名のチームメンバーが夜遅くまで作業を行い、アップデートの準備を整えました。今回の対応にご協力いただいたすべての方々に感謝申し上げます。ユーザーのセキュリティとプライバシーを保護することは、特に証明書の検証に関しては、当社が真摯に受け止めている責任です。
これによってどのような影響がありますか?
影響を受ける証明書を使用しているウェブサイトでは、AdGuardのHTTPSフィルタリングが無効になります。その代わり、お使いのブラウザが接続の検証を行い、証明書に関するセキュリティ警告を独自に処理するようになります。
これは意図的な仕様です。AdGuardは、潜在的に安全でない接続について警告するブラウザの機能を妨げてはなりません。その代償として、AdGuardがHTTPSトラフィックをフィルタリングできなくなるため、これらのウェブサイトに広告が表示される可能性があります。
最適な保護を確保するためには、お使いのプラットフォームに対応した最新バージョンのAdGuardにアップデートしてください。また、Chrome、Edge、Opera、Brave、Vivaldi、Firefoxなど、影響を受ける証明書を信頼しなくなった最新のブラウザを使用することをお勧めします。
まだ AdGuard for Windows v7.x をお使いですか?ご安心ください
AdGuard for Windows v8.x は現在、当社のメイン開発ブランチとなっており、バージョン 7.x は主要な更新ブランチとして積極的にメンテナンスされていません。しかし、さまざまな理由でまだバージョン 7 をお使いのユーザー様がいらっしゃることも承知しております。そのようなユーザー様にも、この重要なセキュリティ修正を確実に適用していただきたいと考えております。
そこで、侵害されたeMudhra証明書に対する同様の修正を含むAdGuard for Windows v7.22.10をリリースいたしました。これは、バージョン7の積極的なメンテナンスを再開するものではなく、今回限りのセキュリティアップデートとなります。
重要:バージョン7.22.10は、アプリに組み込まれたアップデータを通じて配信されることはありません。GitHubから手動でダウンロードし、インストールしていただく必要があります。
【v7.xをv7.22.10にアップデートする方法】
- GitHubのAdGuard for Windows リリースページを開いてください。
- バージョン 7.22.10 を探し、そのインストーラーをダウンロードしてください。
- インストーラーを実行し、画面上の指示を行なってください。
まだバージョン 7.x をご利用の場合は、必ずこの更新プログラムをインストールしてください。すでにバージョン 8.x をご利用の場合は、修正が含まれているバージョン 8.0.3 またはそれ以降のリリースに更新してください。
一部の Windows 7 ユーザー向けの追加手順
一部の Windows 7 ユーザーは、更新後に AdGuard を再び動作させるために、ルート証明書を手動でインストールする必要がある場合があります。
その理由は以下の通りです。AdGuard for Windows v7.x は、ファイルのデジタル署名に Sectigo 証明書を使用しています。Windowsは、AdGuardサービスが起動する際にこのデジタル署名を検証します。しかし、一部のWindows 7システムでは、署名の検証に必要なルート証明書Sectigo Public Code Signing Root R46が欠落している場合があります。この証明書は、Windows 7のサポート終了後の2021年に発行されたものであるため、Windows Updateでは入手できない可能性があります。
この証明書がない場合、WindowsはAdGuardの
デジタル署名を検証できず、サービスが起動に失敗し、「問題が発生しました」というメッセージが表示される可能性があります。
この問題を解決するには:
Sectigoの公式ウェブサイトからSectigo Public Code Signing Root R46証明書をダウンロードしてください。
インストールする前に、証明書を確認してください。 ファイルを保存したフォルダで、コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行してください:
certutil -hashfile SectigoPublicCodeSigningRootR46.crt SHA256
結果は次の通りでなければなりません:7e76260ae69a55d3f060b0fd18b2a8c01443c87b60791030c9fa0b0585101a38
スペースや大文字・小文字は無視してください。ハッシュ値が一致しない場合は、証明書をインストールしないでください。その場合は、AdGuard サポートチームまでご連絡ください。
ダウンロードしたファイルを管理者として実行し、「証明書のインストール」 を選択してください。
「ローカル コンピュータ」 を選択してください。
「すべての証明書を次のストアに配置する」 を選択し、「信頼されたルート認証機関」 を選択してください。
[完了] をクリックし、コンピュータを再起動してください。
Windows では、証明書の発行者を検証できないという警告が表示される場合があります。これは、ルート証明書をインストールする際に想定される動作です。
これは一時的な対処法です。影響を受けたコンピュータ上でデジタル署名の検証機能を復元し、AdGuard サービスが起動できるようにするためのものです。
お客様のセキュリティを大切にしています
今回のようなセキュリティインシデントは、証明書の検証がいかに重要であるか、また問題が発生した際には(たとえその原因がAdGuardの外部にある場合でも)迅速に対応する必要があることを改めて認識させてくれます。当社は問題の特定後直ちに対応し、サポート対象のすべてのプラットフォーム向けに修正プログラムをリリースしました。これには、現在もAdGuard for Windows v7.xをご利用中のユーザー向けの専用アップデートも含まれています。
ご質問や、更新時に問題が発生した場合、あるいはこれらの変更に関するご意見がございましたら、GitHub までお知らせください。皆様からの報告やフィードバックは、AdGuardの改善と、より安全なブラウジング環境の維持に役立てられます。










