【新バージョン】AdGuard for Android v4.0 のNightly版 アプリのフルリニューアル
しばらくの間、AdGuardのモバイル版アプリについて大きなお知らせがありませんでしたが、ついに、ビッグニュースをお伝えできるきっかけが訪れました。
AdGuardのAndroid版アプリを誰もが快適に使用できるよう、全面改良いたしました。
技術的に詳しくない方にとってはより使いやすくし、データ・個人情報を細かく管理したい方にとってはより多くの機能を詰め込みました。
また、アプリの中のコードを完全に書き直したので、より速く、よりスムーズに動作するようになりました。
【注意】これはNightlyバージョン(Nightlyはベータの前の段階)ですので、通常よりも多くのバグ・不具合が含まれていたり、動作も不安定だったりします(こちらに既知の問題のリストを確認できます)。
不安定なバージョンをテストしてバグ・不具合を報告することを目的としています。安定したアプリを利用されたい場合は、これからの安定版の公開をお待ちください。アプリをより安定させるために積極的に作業とテストに取り組んでいます。
※このNightlyバージョンは英語のみですので、アプリ内で見つけやすいよう本記事ではメニュー項目を英語で記載しております。日本語対応バージョンは今後のアップデートで公開いたします。(ご希望であれば、こちら(crowdin)でローカライズに貢献していただくことができます。)
一般ユーザーにも役立つ主要改善点
UIデザインを一新
元々、AdGuard for Android は多数の機能を備えており、広告、トラッカー、その他の脅威をブロックする万能ツールとして機能します。
デザインを改新する際に、「メイン」となる機能へのアクセスを簡素化し、1回のタップですべての機能を使えるるようにしました。
広告ブロック、追跡防止、迷惑要素ブロック、DNS通信の保護とそのフィルターをオンにするには、メインスイッチの上にあるそれぞれのアイコンをタップするだけで十分となりました。
また、「Protection」という項目が追加されました。画面下部の盾のアイコンをタップすると見つけることができます。
このセクションでは、上記の「メイン」機能とは別に、ファイアウォール、ブラウジングセキュリティ、さらにはAdGuard VPNを管理することが可能です。
「Protection」(保護)画面では、これらのモジュールのオン/オフの切り替えや、各設定へのアクセスを簡単に行うことができます。
詳細な統計
最近のアプリってユーザーのデータを好き放題に扱い、あちこちに流出させていることにはもう驚かない人も多くなっています。
そのため、ユーザーが自分のデータ・個人情報を完全にコントロールしたいと思うのも、極めて当然なことです。
AdGuardを使えば、それはすでに可能で、その透明性をさらに高める機能を導入しました。
どのアプリや会社があなたのデータを漏らす可能性があるのか?
「Statistics」(統計)を使えば、どのアプリがどの企業にデータを送信しているかを追跡し、一部のリクエストをその場でブロックしたり許可したりすることができるようになりました。
ファイアウオール
Androidアプリには、以前からFirewall(ファイアウォール)に似た機能がありましたが、アプリの奥深く、つまり「アプリの管理」セクションに隠されていました。
現在では、動作範囲が明確に定義された、完全に独立した機能になっています。
Firewall画面では、アプリのインターネットへのアクセスを制御できます。
端末の画面が消灯している状態でモバイル・Wi-Fi通信を使用できる・できないアプリを設定したり、アプリのアクティビティに関するリアルタイム通知を受け取ったり、クイックアクション(Quick actions)のセクションでファイアウォールのルールを更新したりすることができます。
詳しいユーザー向け機能
まだまだお伝えしたいことがたくさんあります。
しかし、以下で紹介する変更・新機能は、どちらかというとより技術的に精通したユーザーを対象としています。
あまり興味ないようでしたら、遠慮なく下の「これからの予定」という章まで飛ばしてください。
AdGuard VPNとの統合モード
通常、Androidでは2つの異なるネットワークフィルタリングアプリが同時に動作することはできませんが、AdGuard広告ブロッカーとAdGuard VPNなら、特別に実装した併用モードにより、同時に動作させることができます。
併用モードは、このバージョン以前から存在していましたが、より改善されました。
最大の改善点は、安定性です。
今回のNightly版アップデート以前は、どちらかのアプリを再インストール、あるいはアップデートするたびに、併用モードを一から設定し直さなければなりませんでした。
これは面倒なことで、明らかに「併用」という名称に反するものでした。
これからは、一度設定すれば、あとは何も考えなくていいのです。
アップデートも、再インストールさえも、両アプリ間の統合はそのまま保持されます。
さらに付け加えると、AdGuard広告ブロッカーとAdGuard VPNは、より頻繁に情報を交換するようになりました。
これも統合モードの安定性にプラスとなっています。
パフォーマンスなどに悪影響を与えることはありませんので、ご安心ください。
残念ながら、このAdGuardのNightly版は、AdGuard VPNの現行リリース版やベータ版との互換性はありません。 Integration(併用)モードを使用するには、最新のAdGuard VPN のNightlyバージョンを入手する必要があります。
Selective app proxying
AdGuardでは、指定したプロキシサーバーを経由してWebトラフィックをルーティングすることができます。
独自のプロキシを設定する方法に関する記事はこちらにあります。
しかし、今回のNightly版までは、この機能には問題があり、Webトラフィック全体を経由させることしかできませんでした。
本Nightlyバージョンでは、どのアプリをプロキシを介して動作するようにするかを指定することができます。
この機能は、ウェブトラフィックの管理により柔軟性を与えるだけでなく、将来的にAdGuard VPNとの統合モードを設定する際にも役立ちます。
今のところ、AdGuard VPN のVPN対象外アプリ(アプリ除外)を設定することは、一般モードでのみ可能であるため、AdGuard と AdGuard VPN のどちらかを選択する必要があります。
まもなく、「プロキシ経由で動作するアプリ」という新機能を使用して、AdGuard VPNを介してトラフィックを送信するアプリを指定することができるようになります。
rootアクセスのメリット
これを読んでいる方の多くは、rootが何であるか知っていることでしょう。
root化とは、通常のアクセスレベルと比較して、デバイスに対してより「特権的」な制御を得るためのプロセスです。
お使いのAndroidデバイスがroot化されている場合、このNightly版を使用すると、以前のバージョンのAdGuard広告ブロッカーよりも多くの可能性が得られます。
通常、AdGuardは、ローカルVPNを設定することによって、ネットワークトラフィックをフィルタリングエンジンであるCoreLibsにルーティングしています。
ルートアクセスを使用すると、AdGuardを自動プロキシモードに切り替えることができます:
Settings → App settings → Network → Routing mode → Automatic proxy に切り替える
この操作を行うと、AdGuardはローカルVPNを使用しなくなり、代わりに同じ目標を達成するためにiptablesを再設定します。
これには、いくつかの利点があります。
まず、このモードだと、AdGuardは、以前は不可能だったIPv6リクエストにDNSフィルタリングを適用できるようになります。
次に、AdGuardがどのWebリクエストがどのアプリに属しているかを判断できない欠点をいくつか修正しています。
これにより、Firewall、Filtering logなどの全体的な品質が向上します。
root化端末を使っている方にはもっといいこと用意しており、まもなく導入予定です。
詳しくは下の「これからの予定」をチェックしてみてください。
「ローレベル設定」の改新
Settings → App settings → Advanced → Low-level settings(「設定」→「アプリ設定」→「高度な設定」→「ローレベル設定」)にあるローレベル設定は、上級者向けの設定です。
以前は、ノウハウがないままいじると、AdGuardや端末の動作で何かを壊してしまう可能性が高かったです。
このバージョンでは、ローレベル設定をより人間的に理解しやすいものにしました。
また、間違って操作をしてしまったとしても、入力された値の検証などといった安全策を講じていました。
設定事態に関しても、新しく追加した項目と廃棄した項目があります。
オープンベータと正式リリースが近づいたら、ローレベル設定の徹底的なガイドをナレッジベースで公開しようと思います。
これからの予定
すでに多くの変更・更新を導入しましたが、まだこれからも多くのことを準備中です。
今後のアップデート(Nightly版→ベータ版→リリース版(安定版))で予定されているものを紹介したいと思います。
- ホーム画面はさらに更新される予定です。v3.6と今回のNightlyの間のような劇的な変化はありませんが、いくつかの小さな改善を追加したいと考えています。
- ファイアウォールがローミング関連のルールをサポートするようにする予定です。どのアプリがいつローミングデータを使用できるかを選択できるようになり、また、それぞれのアプリに日・週・月のローミングデータ上限を個別に設定することができるようになります。
※ファイアウォール画面に「Use roaming data」(ローミングデータを使用する)項目があるにもかかわらず、初Nightlyバージョンのためまだ動作していませんのでご注意ください。
- AdGuard VPN との併用モードでは、VPNトンネルの使用からアプリを選択的に削除することが可能になります。
- 現在、ルートアクセス権のあるデバイスでは、AdGuardはChromiumベースのブラウザーでHTTPSフィルタリングすることができません。この問題は、2つ目の中間証明書を導入することで解決される予定です。
- 様々なカスタムユーザールール、ホワイトリスト、ブロックリストなどのエクスポート/インポートオプションを追加予定。現在は、設定を全部エクスポート/インポートするオプションしかありません。
- Global Encrypted ClientHello (ECH)のサポートを導入予定。現在、通信暗号化はあってサイトで何をしているかはISP(インターネットプロバイダ)に見えないですが、あなたが接続するドメイン(=訪問するサイト)は見えます。ECHはこの問題を解決します。すでにローレベル設定の1つとして利用可能ですが、これからは端末全体にデフォルトで有効になるようにする予定です。ECHについて詳しくはこちらは、(以前のベータ版の変更履歴の一つ)で確認できます。
ぜひこのNightly版をテストしてみてください
皆様からより多くのフィードバックをいただければ、大変助かります。
- AdGuard for Android v4.0 のNightly版のダウンロードはこちら
(もしくはAdGuardアプリ内で[メニュ]→[設定]→[一般設定]→[アップデート]→[アップデートチャンネル]→[Nightly(不安定)]に切り替えて、アプリをアップデートしてください) - AdGuard VPN のNightly版の入手はこちら
(※Nightly版に切り替えますと、安定版に戻るには、Nightly版アプリを削除して安定版を再インストールする必要があります。)
問題・報告を報告したり、機能提案をお寄せください。
その方法などについては以下をご覧ください。
問題・不具合を報告する方法
もし不具合・バグに見つけたら、AdGuard for Android のGitHubでissueを作成することでお伝えください。
発見した内容の説明とログを devteam@adguard.com に送信してください。
そうすることで、問題への対処が容易になります。
ログを収集するには、
「Settings」 → 「App settings」 → 「Advanced」 で 「Export logs and system info」 を選択してください。
(「設定」 → 「本アプリの設定」 → 「高度な設定」で「ログとシステム情報のエクスポート」)
※「Auto-report crashes」はオンしておくことがおすすめです。
すでに対処しているものもありますので、同じような件を報告する必要はございません。不具合報告を送信する前に、既知の問題リストをご確認ください。
機能リクエストを投票する
GitHubでは、機能リクエスト(feature request)に対して反応を残すことができます。
これにより、ユーザーの方々が何に興味を持っているのか・どの機能を導入してほしいのかを知ることができます。
リアクションを残すには、気に入った機能リクエストを選択し、その導入をサポートする絵文字を付けてください。
おわりに
AdGuardはこれまで、たったひとつのNightlyバージョンにこれほどの力を入れたのは初めてです。
通常、Nightyバージョンはごく少数の熱狂的なファン・ユーザー・テスターだけが興味を持つものです。
しかし、今回は違います。
このバージョンは、多くの人々にとって、まもなくAdGuard for Androidに訪れる大きな変化の前触れであり、v4.0のリリース版を100%のものにするためにも重要です。
皆様のご協力とコミュニティの助けにより、あらゆるバグ・不具合を突き止め、機能などを適切に磨き上げし、何百万人ものAdGuardユーザーの皆様には、完璧に近い正式アップデートになるよう努力しております。
Nghtly版AdGuard for Android v4.0やNightly版AdGuard VPNをダウンロードして、ぜひご意見をお聞かせください。
一緒にAdGuardをより良いものできれば幸いです。
※このNightly版を含めv4.0以降のAdGuardは、Android 7.0未満への対応は終了とさせていただきます。
※Nightly版に切り替えますと、現行リリース版(安定版)に戻るには、Nightly版アプリを削除して安定版を再インストールする必要があります。